Nexus Modsニュース和訳:モッダーからBlade & Sorceryの開発者に - KospYのインタビュー (2020/07/31)
2020/07/31のNexus Modsニュース Modder to Developer - KospY(モッダーからBlade & Sorceryの開発者に - KospYのインタビュー)の和訳です。
モッダーからBlade & Sorceryの開発者に - KospYのインタビュー
元記事:Modder to Developer - KospY
投稿者:Pickysaurus(コミュニティマネージャー)
投稿日:2020/07/31 (UTC)
目次
- はじめに
- お忙しい中、時間を割いていただきありがとうございます。まず最初に、ご自身のことを少し教えていただけますか?
- 最初にゲームを始めたきっかけを覚えていますか? 特別な意味を持つゲームはありますか?
- ご自身のゲームを制作する前は、いくつかのゲームでMODを制作されていましたね。モッディング歴について教えていただけますか?
- Blade & Sorceryはユニークでリアルな物理エンジンをフルに活用した中世ファンタージ―・サンドボックス型VRゲームで、実に満足できる戦闘体験を提供しています。自分でゲームをデザインして制作することにした経緯を教えてください。
- Blade & SorceryはNexusのコミュニティでも大ヒットして、1,900以上のMODが制作され、780万ダウンロードを突破し、2019年で最もホットなゲームとなりました。このゲームの人気についてどう思いますか?
- 特に印象に残っているMODはありますか?
- Blade & Sorceryのようにモッディング可能なゲームを作る上での主な課題は何だと思いますか?
- Blade & Sorceryのロードマップは2021年まで続いていますが、どのような機能に取り組んでいるのでしょうか?
- 僕たちKospY氏と密に連携してVortexのBlade & Sorcery用アドオンを作成しました。ゲームの背後にいる頭脳と緊密な共同作業のおかげで、最も機能が充実した拡張機能となっています。Vortexについての意見をお聞かせください。
- 最後に
お忙しい中、時間を割いていただきありがとうございます。まず最初に、ご自身のことを少し教えていただけますか?
2018年に早期アアクセスでリリースされた中世ファンタジーVRゲーム、Blade & Sorceryの開発者だ。これまでゲーム業界で働いたことがないというのが、僕の経歴の特異な点と言えるが、子供のころからゲームに情熱を傾け、暇な時間には飽きることなくゲームを改造してきた。2017年に初めてVRヘッドセットを手にして、たちまちVRにハマってしまい、趣味として「ちょっとした」剣と魔法の戦闘ゲームに取り組み始めた。それから1年後、日々の仕事を辞める機会があって、思い切ってこのゲームにフルタイムで取り込み、自分の好きなことをして生活していくことにした。Blade & Sorceryは2018年末にSteamでリリースされ、本プラットフォーム上で最もプレイされたVRゲームとなった。
最初にゲームを始めたきっかけを覚えていますか? 特別な意味を持つゲームはありますか?
初めてプレイしたのはアタリのゲームだったと思う。後にCD-iで何やら大失敗したが… でも、本当の始まりは'90年代に最初のコンピューター(Pentium 133MHz!)を手に入れたときだった。当時僕は12歳くらいで、たくさんゲームをプレイしたのを覚えている。多すぎて全部はリストアップできないが、当時のお気に入りをいくつか挙げるとすれば、Duke Nukem、Total Annihilation、Jedi Knight、Half-Life、それとBattlezoneあたりだ。2000年代のゲームでお気に入りなのは、Deux Ex、Morrowind、Arx Fatalis、それとHomeworldだ。これらは僕の子供時代を形成してくれたゲームで、今でもときどきプレイして、昔を懐かしんでいるよ(笑)。
ご自身のゲームを制作する前は、いくつかのゲームでMODを制作されていましたね。モッディング歴について教えていただけますか?
Half-Lifeがリリースされたときにゲームのモッディングを始めて、 WorldCraft (Hammer)でマップを作り、その後Counter-Strikeのサウンドとビジュアルをオーバーホールした。当時はプログラミングはしていなかったが、人間の大砲や物理演算対応の乗り物を作るために、HL2物理演算をいじくりまわしていたのを覚えている(笑)。
それからベゼスダのゲームに移った。自分のMODを公開し始めたのもこの頃だ。Skyrim用のちょっとしたバランス調整MOD(Hardcore and Balanced Experience)と、Fallout New Vegas用の家の置き換えMOD(Lucky 38 Suite Reloaded)を制作した。これらのMODはまだNexusで公開されていて、FNVのものは他の誰かに引き継がれているよ。
そしてようやく、Kerbal Space Programに移った。モッディング可能なゲームと宇宙の大ファンとして、このゲームは純粋な喜びだった! それから2年ほどKSPに関わり、今でも人気のある2つのMOD、Kerbal Attachment System (KAS)とKerbal Inventory System (KIS)を制作した。このゲームがなければ、UnityとC#を学ぶことはなかっただろうし、Blade & Sorceryも存在しなかっただろうから、KSPにはとても感謝しているよ。
Blade & Sorceryはユニークでリアルな物理エンジンをフルに活用した中世ファンタージ―・サンドボックス型VRゲームで、実に満足できる戦闘体験を提供しています。自分でゲームをデザインして制作することにした経緯を教えてください。
自分でゲームを作ろうと思ったのは、KISとKASを制作した後のことだ。そのとき、UnityとC#開発の経験があれば、自分でゲームが作れるかもしれないと単純に思ったんだ。
ゲームをデザインするのが長年の夢だったので、GTA 1とFTLをミックスした2D宇宙ゲームのプロトタイプを作り始めた。数ヶ月取り組んだ後、Elite DangerousをプレイするためにOculus DK2を購入した。それでVR体験に圧倒されて、VRゲームのための新しいアイデアにシフトしたことを覚えている。そしてコントローラー付きのHTC Viveを手に入れたとき、自分の野望が裏付けられ、2Dゲームの開発をやめてVRゲームに取り組み始めた。、
正直に言うと、初期の開発は少し混沌としていた。アセットを見つけるのが簡単だったので中世ファンタジーのテーマを選択し、プレイヤーが魔法を使ってスケルトンの波状攻撃と戦う、テレポート移動を使ったシンプルなウェーブベースの闘技場を作り始めた。これはつまらないと思い、スケルトンをボツにして、マルチプレイヤー、スムーズな移動、物理演算ベースの武器操作を追加して、ゲームをChivalryに近いものに移行することにした。
他のプレイヤーにテストしてもらった結果、思ったように動かないことが分かった。ラグや非物理演算の敵は、満足できる近接戦闘を行うには問題が多すぎた。また、対戦型のマルチプレイは自分の得意分野ではなく、長期的に見て問題になりうることにも気づいた。
それからプロジェクト全体をいちからやり直すことにして、物理演算ベースの処理と気に入ったものだけを残し、より自分の好みに近いものを目指して、すべてを書き直した。この時点でのアイデアは明確で、革新的な近接戦闘システムを作り、抽象化するのではなく没入感とシミュレーションに焦点を当て、戦い方と環境との関わり方に対する完全な自由を与えることだった。
Blade & SorceryはNexusのコミュニティでも大ヒットして、1,900以上のMODが制作され、780万ダウンロードを突破し、2019年で最もホットなゲームとなりました。このゲームの人気についてどう思いますか?
ホッとしているよ! 長い間何かに一生懸命取り組むとき、自分の作品や好きなものが他人にも好かれるというのは大きな安心感がある。基本的に、ゲームでは自分の好みに合ったものを全てやったし、ソロの開発者なのでプレイテストもあまりせず、自分の根性を信じてさまざまなことをやっていた。
当時の他のゲームが提示していた戦闘方法とは大きく異なるため、開発中はプレイヤーがどう反応してくれるだろうかと考えていた。また、モッディング機能に多くの時間をかけるよう考慮していたし、近接戦闘VRゲームのモッディングにプレイヤーが興味を持ってくれるかどうかも気になっていた。
幸い、多くのプレイヤーがサポートしてくれて、初期の段階から僕のプロジェクトを信じていてくれた。感謝してもしきれないよ。今は彼らに対して多くの責任を感じている。この早期アクセスの期間中に裏切ることのないように努力している。特に早期アクセスが始まってからゲームの範囲が大きく広がっているからね!
とにかく、プレイヤーと素晴らしいコミュニティのおかげで、今では一人ぼっちではなく、約10人の体制でゲーム制作に取り組んでいる。Blade & Sorceryは長期的なプロジェクトで、今後の数年間は僕たちにとって決定的なものになるだろうし、Blade & Sorceryの未来のために僕たちが何を仕込んでいるのかお見せしたくて仕方がないよ!
特に印象に残っているMODはありますか?
残念ながら、MODで遊ぶ時間はあまりないが、最近B.A.R.Z.E.L MODの動画を見て感動した。これはモッダーの創造力がどれほどのものかを示すものだ。
Blade & Sorceryのようにモッディング可能なゲームを作る上での主な課題は何だと思いますか?
僕自身、以前はモッダーだったし、Blade & SorceryではUnityが使われているので、最初から考えてオープンにしていれば、それほど難しい事ではないと思う。
当然、必要な作業は増えるし、悪夢のようなデバッグが待っている可能性もあるので(プレイヤーからMODが原因の問題の報告があった)、常に柔軟に考える必要がある。だが最終的には、これによって良い基盤ができて、より拡張性のあるゲームとなるので、今後の計画を立てる上でとても重要なものになると思う。
Blade & Sorceryのロードマップは2021年まで続いていますが、どのような機能に取り組んでいるのでしょうか?
次の大型アップデート「U9」は、プレイヤーの成長システムとランダム生成ダンジョンへの第一歩を踏み出すもので、僕も非常に楽しみだ。まだ詳しくは話せないが、最終的にはゲームがシンプルなサンドボックスからより深みのあるものに移行することになるので、大きな節目となるだろう。多くのプレイヤーが楽しみにしているので、期待を裏切らないようにしないとね。
長期的には(Blade & Sorcery 1.0以降)やりたいことがたくさんある。第一に、人型以外のクリーチャーに取り組み、新しい鎧や武器、環境といったオリジナルコンテンツをゲームに追加できるようにしたいと考えている。第二に、物理演算とインタラクションで出来ることについて、僕はまだほんの表面をひっかいた程度に過ぎない。だから物理演算ベースの何か新しい機能に取り組みたいと考えている。
最後に、マルチプレイヤーのためのダンジョン(囲い)を追加して、いずれはオープンワールド的なものにしたい。残念ながら、僕たちのチームも技術もまだ準備が整っていないが、1.0以降の拡張機能についてもプレイヤーからのサポートが得られ、他のプラットフォームへの移植がうまくいけば、長期的には達成できると考えている。
僕たちKospY氏と密に連携してVortexのBlade & Sorcery用アドオンを作成しました。ゲームの背後にいる頭脳と緊密な共同作業のおかげで、最も機能が充実した拡張機能となっています。Vortexについての意見をお聞かせください。
個人的にBlade & Sorceryや他のゲームにVortexを使っているが、シンプルで使いやすい。ファイルをいじくりまわしたり常にアップデートを確認したりすることなくゲームを改造したい人にはお勧めだね。