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Skyrim/The Witcher 3 Modについてのあれこれ。FoModの作り方、Mod導入時のトラブル事例などのニッチな話を書いていきます。a.k.a. BowmoreLover@nexusmods

Nexus Modsニュース和訳:モッダーからプロのレベルデザイナーに - ダン・テイラーのインタビュー (2019/3/25) 追記あり

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2019/03/25のNexus Modsニュース From Modder to Professional Level Designer - Interview and AMA(モッダーからプロのレベルデザイナーに - ダン・テイラーのインタビュー)の和訳です。聞き手はBigBizkit。

2019/03/27 : Nexus記事のコメントでの質疑応答を追記しました。


モッダーからプロのレベルデザイナーに - ダン・テイラーのインタビュー
元記事:From Modder to Professional Level Designer - Interview and AMA
投稿者:BigBizkit (コミュニティマネージャー)
投稿日:2019/03/25(UTC)

目次

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はじめに

本日はプロのレベルデザイナー、ダン・テイラー(Dan Taylor)にお話を伺った。彼はこれまでにアイドススクウェア・エニックスユービーアイソフトロックスター・ゲームスといったゲームソフトメーカーで、メダル・オブ・オナー ヒーローズ2ヒットマン スナイパーシャドウ オブ ザ トゥームレイダーなどのゲーム開発に携わってきた。

MorrowindSkyrimFallout New Vegasでモッダーとしてのスタートを切ったダンは、ビデオゲーム業界で約20年もの経験を積んできた。Game Developers Conference 2013における彼の講演、Ten Principles for Good Level Design (良いレベルデザインのための10の原則)は、今やYouTubeにおける「レベルデザイン」動画のトップヒットとなっている。

今日は趣味のモッダー時代からプロのレベルデザイナーまでの軌跡、ビデオゲーム業界全般、そして彼の最新プロジェクトであるボードゲームアプリ Thunderboxについてお話を伺う。

ダンに質問があれば、お気軽にNexusの記事のコメント欄までどうぞ。数日間、ダンが暇を見つけて質問に答えてくれるそうだ。

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BigBizkit: 本日はありがとうございます。まずは自己紹介と経歴、それにどんなことをしているのか少し教えていただけますか?

ダン: もちろん喜んで、ステファン! これまで約20年間ゲーム業界にいたが、少し変わった経歴があるので、最初から始めようと思う… 以前はロンドンでマーケッティングの「アシスタント」として働いていて、ハーフライフワイプアウト3といったゲームの宣伝用グラフィックを制作して街角に貼り回っていた。それからてソニーのヨーロピアン・プロダクトマネージャーにまで上り詰め、EyeToyKILLZONEなどを市場に送り出した。すごい日々だったよ! マーケッティングチームはゲームの立ち上げのために猛烈に働いたし、僕もすごく楽しかった。でも、もっと製品に関わりたいと思ったので、ゲームデザインを学ぶためにモッディングを始めたんだ(当時はそういった教育課程がなかったので)。自分の制作したモロウウィンド用MODによってメダル・オブ・オナーレベルデザインの職に導かれて、2006年にイギリスを離れてカナダのバンクーバーに移住した。それ以来、マックスペインヒットマンDeus Ex、そして一番最近ではトゥームレイダーといったさまざまな分野のシリーズで、ゲーム/レベルデザイナーとして活動してきた。

「レベルデザイナー」とは何か、レベルデザインの必要性、開発チームの他の部分とどう結びつくのかについて、あなたの意見を聞かせていただけますか?

まずは「レベル」とは何かを理解しないとね。それが「場所」や「ミッション」だと考える人が多いけれど、どれも部分的にしか合っていない。レベルとは、ゲームプレイを提供するメタフィジカル(抽象的)な媒体だと考えている。つまり、プレイヤーはレベルを通じてゲームプレイを受け取るんだ。レベルデザイナーの仕事とは、ゲームの仕組みや物語の要素、芸術的な要約、創造上の技術的制限を理解しつつ、プレイヤーの感情を呼び起こすことだ。レベルとは他の作業のすべてが展開されるところであり、レベルデザイナーは他のすべての分野(アート、物語、サウンド、技術、ゲームプレイなど)と極めて密接に連携しなければならない。だから共同作業とコミュニケーションは、スムーズに流れるミッションを創り出せる能力と同様に重要なスキルなんだ!

www.youtube.com

Game Developers Conference 2013の講演 Ten Principles for Good Level Design (良いレベルデザインのための10の原則)は、今やYouTubeにおける「レベルデザイン」動画の一番人気です。この原則は時代を超越したものでしょうか? それとも「良いレベルデザイン」に対するあなたの認識は進化しましたか?

そうだな… YouTube動画の件については面白くもあり、とても謙虚な気持ちでもある… ゲーム制作について僕よりも少し詳しいだろう ジョン・ロメロ (DOOMのデザイナー) の動画が2番目に控えているから特にね!

ゲームの世界は絶えず進化しているから、ある一連のガイドラインの今日的な意味がどれだけ長く持つのか予測することは不可能だ。とはいえ、僕はなるべく制約がなく自由に解釈できるオープンエンドなものにしようと努力したから、長い間多くの人々の役に立つかもしれない。レベルデザイナーがゲーム/映画/コミック以外の分野から発想を得るというのは僕にとって重要で、人間工学、心理学、建築学といった古典的な分野について考えるようにしているから、うまくいけばこうした要素の有効期限は長いものになるだろう。分かってもらえるかな。

10の原則を見ると、#5の「良いデザインとは驚き」が際立っています。恐らく良い/楽しい驚きのことでしょうが、ゲームあるいはレベルにおいて、まさにレベルデザインで「驚き」を表現できることを示したゲームは何でしょうか?

驚きを届ける方法はいくつかある。驚かせると飛び上がるのは当然だが… そういう意図ではない。革新的なものでも驚かせることができるが… プロジェクトのごく初期から全体を通しての献身的な努力が必要となるし、とても大変だ。レベルデザイナーにとってプレイヤーを驚かせる一番の方法は、予想させてそれを覆すことだ。ゲーム内のレベルが作り出すパターンをミクロ(ゲームプレイのループの各瞬間)とマクロ(ゲーム全体にわたる大まかなゲームプレイ)の両方の視点から見て、「この反対は何かな? 面白くできるかな?」と自分に問いかけるんだ。物事を覆すパターンを確立できれば、ゲームの中後半のステージで強烈な記憶の残るゲームプレイを提供する力になる。

10の原則はどれも正当で合理的です。ところで、この原則に従わないにもかかわらず、それでもなお楽しいゲームやレベルの例はありますか? その理由は何でしょうか?(例がない場合、あり得ると思いますか?)

なるほど! あのガイドラインは… まあ… ただのガイドラインだ。出発点とするにはいいとしても、レベルデザインについて考える唯一の方法でないのは確かだ。頑張ればどんなものでも後知恵で当てはめることができるから、あの原則の1つにでも従わないゲームを例示するのは難しいね!

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あなたがMorrwind、Fallout New Vegas、SkyrimのMOD制作者から出発したと聞いて、このコミュニティのみんなも嬉しく思うでしょう。あなたの作るMODの傾向とその理由は?

ああ、MODは大大大好きだ! いつもゲームに新鮮で珍しいものを持ち込みつつ、伝承とバランスの点においてみんなに受け入れらる体験にしようとしている。僕は物語/クエスト主導のものを作るところから始めたが、それにはかなりの時間がかかる。モロウウィンドのMODでは2年もかかった。だからより賢くサボれる方法を調べた。僕のスカイリム用MODは「ゲームの仕組みの配信システムとしてのレベル」を真に具現化したものだが(ネタバレはしたくない)、メインのゲームでは見たことがないような面白い方法でドラゴンシャウトを使うことを主眼に開発したものだ。クエストと報酬はメインのゲームプレイにちょっとしたマクガフィン的文脈(作劇の一手法)を提供するものに過ぎないんだ。

最初にモッディングに触れた理由は? どうやってMODの作り方を学びましたか? 生計のためのゲームに取り組みたいと気付いたきっかけは?

とても幼いころからゲームに取り組みたかった。最初に作ったのは10歳のときにZX Spectrumで、どこかの古臭いプラットフォームのコンストラクションキットを使ったものだったと思う。それにはトランスフォーマー(変成機構)が付いていて、当時は最高のおもちゃだった。それから後にアミーガのSEUCKで作ったものがあるが、実際にプレイ可能なものを作ったのはDOOM(第1作)でだった。当時はFTPで入手した技術文書をプリントアウトしてツールの仕組みを理解する必要があったんだ! “The Voodoo Doll(ブードゥー・ドール)”と呼ばれる珍しいバグを利用したパズルのあるレベルを作った。ショットガンでブードゥー・ドールを爆破して動かさなければならない。さもないと巻き込まれて死んでしまうのさ! どうやら僕はおかしなものでみんなを楽しませるのが好きみたいだ。

どうしてモッダーからゲーム開発者に? きっかけは何ですか?

正直言ってとても素晴らしいことだった。最初にデザインを担当したのはメダル・オブ・オナー ヒーローズ2だったが、第二次大戦の歴史的設定もFPSも大好きだったし、当時Wiiは超最新だったから、夢のような仕事だったよ。

他の人と同じように募集に応募したが、以前EAで働いていた友人からの推薦状があった。人との繋がりはとても大切だから、機会があるたびに人脈を広げる努力をしていたんだ。面接では自作のモロウウィンドMODについて簡単なスライドショーをプレゼンした。まさかこの職が得られるとは思わなかったが、EAのプロデューサーはすごく感心してくれたようだね!

そして最初の週、「バトル・モーメント」と呼ばれるレベルのために、レベルデザインチームで短くて再利用可能な行動シナリオを考えなければならなかった。そこにはクールで漠然とした新しいアイデアがたくさんあった。僕のモッディングスキルを有効に活用して金曜日までにはエンジン内で動くものを仕上げて、それがそのままゲームの完成品に組み込まれたんだ。

メダル・オブ・オナー ヒーローズ2の制作期間は約18ヶ月で、大いに楽しみ大いに学んだよ! これまでの仕事であれほど楽しかったことはない。スクエア・エニックスモントリオールの素敵な連中と一緒に働くのを除いてはね。

モッディング経験は仕事に役立ちましたか? 逆に、モッダーとして身に着けた悪い習慣を「忘れる」必要はありましたか?

モッダーであれば手元にある物を使って作業しなければならない。つまり、ゲームで自分の望みを実現するためにルールを曲げるべき場合もあるということだ。これによってゲームエンジンの複雑さがすぐに理解できたし、ほとんどの人が不可能だと思っていたことを実現できたから、僕にはとても役に立った。その一方で、作品は絶対に万全でなければならず、大規模な制作現場ではしばしば全てを円滑に進めるための技術的手順が必要になる… とりわけDeus Exのようなシステム駆動型のゲームでは、どんな風変わりなスクリプトであっても技術チームによるチェックが必要だった。

業界におけるレベルデザインにおいてどれくらいの裁量が与えられますか? チーム作業の必要性によって、あなたのアプローチにどういった影響があるでしょうか?

それはプロジェクトによって大きく異なる。白紙委任状を与えて好きにやらせてくれるゲームもあれば、逸脱の余地のない方向性で実装すべきゲームもあった(残念ながらあまり面白くない)。レベルデザイナーは、プロジェクトの制約(技術的、芸術的、時間、コストなど)を意識しつつ、その中でデザインする必要がある。チーム作業はとても重要だが、一番重要なのは開始直後からのアートチームとナラティブチームとの共同作業だ。そうすることによって、みんながレベルのコアコンセプトに肉付けしてくれるんだ。

好きなことをやるだけのモッダーから、もっと体系的にレベルデザインに取り組むことへの変化はどうでしたか? そもで学んだ最も非直感的かつ困難な気づきとは?

いい質問だ! ゲームチームでは誰もがスゴイことをやりたがるものだが… それはみんなが同意するかどうか、あるいはそれだけの許容範囲があるかどうかの問題だ。何かを提案するなら自分がその理由を理解しているべきだし、、ゲームプレイに対する自分のビジョンに説得力のある議論を提示できるべきだと思う。芸術一般と同様に、ゲームはとても主観的なもので、ときには人々の意見が分かれることもある。たとえば、トゥームレイダーで僕のチームのデザイナーがある墓地を破壊するというビジョンを投げかけた。財宝までたどり着く必要はないのでとても簡単になるが… 生きて脱出しなければならないというトリックだ。彼は数日でクールなグレーボックス(装飾のない)のプロトタイプを作り上げた。その後アート担当とナラティブ担当を難なく説得して、この破壊的な「ハニートラップ」墓地の制作を手伝ってもらった。

大規模プロジェクトで作業する場合、レベルには複数分野の利害関係者が関わることがある。だからフィードバックを処理して無数の指示に対応できる能力というのは、単独のモッダーでは得ることのできない貴重なスキルだ。さっきも言ったとおり、初期段階から全員が揃っていると本当に助かるというのはこのためなんだ。

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以前の会話の中で、シャドウ オブ ザ トゥームレイダーではリードレベルデザイナーとして積極的にコミュニティから優秀なモッダーを探し出し、ジュニアレベルデザイナーに採用したと聞きました。具体的にはモッダーにどういった資質を求めましたか? 特にモッダーの作品のどういった点に注意を払いましたか?

公平を期すために言っておくと、トゥームレイダーは巨大なゲームなのでリードレベルデザイナーが複数いた。ここでは自分のことだけを話すが、目に見える資質はともかく、何か新しいものを提示できるクリエイティビティはもちろん、実際に作品をリリースしてフィードバックを得た経験のあるモッダーを求めた。これには2つの重要な理由がある。

  1. MODのような創造的な試みに挑む者は多いが、これを完成させて公開するには非常に集中したモノの考え方が必要だ。
  2. デヴィッド・ボウイの言葉だったと思うが、世間の目に触れるまでは作品は完成しないという言葉がある… MODがリリースに耐えるものとなるには、一定の品質レベルに達することが必要であり、その後は作品の批評をするプレイヤーとの対話がある。このプロセスは非常に興味深い部分で、デザイナーの反応はそもそもの作品と同じくらい重要だ。

ゲーム開発に関わりたいコミュニティ―のモッダーにアドバイスはありますか? 若い頃に知っておきたかったモッディング、レベルデザイン、業界に関する知識は何ですか?

何かを作れば実現するよ! MODを作って… 何よりも重要なのはリリースすることだ! みんながプレイすることで(願わくば楽しんでくれることで)大きなやりがいを感じられる。そして直接の経験に代わる素晴らしい追記事項として履歴書記載できる。

それとスコープ(実装範囲)に注意すること。妥当な期間内に完成するようにMODをデザインしよう。僕の最初のMODでは2年もかかったが… 2番目のFallout New VegasのMODでは1ヶ月しかかからなかった。

そしてMODを披露できるようにして、何がユニークなのか、どんな魔法をもたらすのかをスタジオに説明して、採用する気にさせるのさ。

業界に入ったら、好きではないゲームでもチームから学ぶことがあれば働くことができるだろうし… 大好きなゲームであれば経験の浅いチームとでも働くことができるだろう… もしどちらにも当てはまらないなら、先に進む頃合いだ!

ゲーム業界に対して特に感謝していることは? 業界の発展についての懸念はありますか?

ああ… その質問については逆順に答えよう。最初に嫌な話をして、それからとても誇りに思えることを話すよ!
ゲーム業界は非常に若いと思う。その結果、学生寮的な男くささがあって中にいるのがとても不快に思えることがある… 残業への英雄的崇拝、女性不足、指導者への崇拝、全般的なプロ意識の欠如、その他諸々…

プラス面では、ますます多くのスタジオが文化の見直しに時間をかけ、ゲーム業界をより開放的で誰にとってもバランスのとれた平等なものにしようとしている。つまり、高齢のプロがより楽しい時間を過ごせて、業界に入る若者が搾取されることがないようにということだ。誰にとってもいいことだね!

現在はThunderbox Entertainmentで、デスクトップからタブレットまで最高のボードゲームを提供するために経験豊富な開発者の小さなチームを指揮されています。そこでの仕事について少し教えていただけますか?

いいとも! インディーズ開発者になって、ボードゲームへの情熱とビデオゲームへの情熱を融合させようと思ったんだ。5年ほど前にパートナーと一緒にベンチャーを立ち上げてフルタイムで働いて、TsuroRoll For It!の2つのゲームをリリースした。どちらもすごく好評で、これからTsuro VRを立ち上げるところだ。それから… 次のゲームについてはまだ話せないが、ずっと取り組みたいと夢見ていたゲームのスタイルで、すごい売り文句を用意しているんだ! もっと知りたければ是非ベータテストに参加してほしい

インディーズ開発者というのは両刃の刃だ。せっせと働く必要があって家賃の支払いも食卓も成功次第… だから無理強いしない! その一方で、まずい決断をしてすごく刺激的なものに取り組んでしまう。さっきも言ったけど、今はVRプロジェクトに取り組んでいる。異常なほどに面白いし、大手のゲームスタジオではほとんど不可能だった。次の2つのプロジェクトは面白くなりそうだよ。毎日満面の笑顔を浮かべて働くようになったね(笑)。

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Nexus Modsコミュニティに言っておきたいことはありますか?

かつて賢人はこう言った。「夢を夢のままで終わらせるな… 行動あるのみ!

真面目な話… 何をもたもたしている? 今すぐモッディングに取り掛かるんだ!

最後に

インタビューに応じてくれたダン・テイラーにいつもと変わらぬ感謝を。

紹介してほしいMOD制作者やプロジェクトがあれば、BigBizkitまたはPickysaurusまで提案してほしい。

追記:フォーラムでの質疑応答

冒頭にもある通り、Nexus記事のコメントにてダン・テイラーが質疑応答に答えてくれました。
その一部を軽く抜粋します。

Q: Iomaungandr Rising(彼のSkyrim用MOD)をSkyrim SEに移植する予定はありますか? 許可をくれるなら移植してもいいけど?

それは唐突だね… 通常版と互換性があるんじゃないのかい?

※移植されました: Iomaungandr Rising SE

Q: ModularityやMod.ioといったインディーズゲームの資金調達と公開を支援する取り組みを考えれば、インディーズに飛び込むのに良い時期です。でもこれは超一流のスタジオとは正反対の動きに見えます。彼らのチームは縮小して誰もが仕事に飢えているので、初心者レベルの職種であってもベテランを雇用しがちです。彼らにはモッダーは必要なく、伝説級のベテランを安く雇用しようとしています。

なるほど。でもチームにおいては常にジュニアメンバーが必要だ。経験豊富で優秀な人材をチームに入れるのは法外な費用がかかるし(ピーナッツのためには働いてくれない)、さほど難しくない作業がたくさんある。たとえば、カバーリグの設置やサウンドトリガーのマッピングといった、助手のデザイナーでも簡単にできる作業があるし、単純作業で高価な人材の時間を無駄にしたくない。僕がモッディングしていたときはマーケッティングの仕事をしていたが、当時はレベルデザイナーの半分の給料だった。十分なお金を稼ぐのは難しいが、それでもひとたび門戸を開けば自分のキャリアを築くことができる。業界に入りたい人に向けた僕からの違った助言としては、自分の作品に、他の応募者にはないような、雇用者がみたこともないような興味深い側面を盛り込むことだ。

Q: ダンは夢に生きて正しいことをしているようですね。応援します。これはモッディングへの素晴らしいヒントですが、残念ながらゲームをする時間がなくて…

ありがとう。僕もそんな感じだよ。ゲームをする時間がほとんどない… とりわけ何百時間ものコンテンツを持つRPGはね。モッディングに自由な時間を全て奪われてしまったが、それを仕事にする計画を立てて、自由な時間を解放することができた。これも一種の解決策さ!

Q: 今はプロですが、Fallout 4/New Vegasのモッディングに戻ってきますか?

インディーズ開発者というのはプロのモッダーにちょっと似ていて、仕事の中で自分のゲームをモッディングしている。既存のゲームでのモッディングという点でいうと、僕は品質にとてもうるさいから、ちょっとした改造でもかなりの時間をかけてしまう。どこかの大きなスタジオにThunderbox用のDLCでも作ってもらうべきかもね。 #coughBethesda

Q: Scourge of The Lich Fatherのパート3のシナリオはもう書きましたか? パート2の後がどうなったのか知りたいのですが。

ワオ! 本当に嬉しい質問だ。パート3の筋書きは確かにある(頭の中にだけど)。短めだが… 規模はパート1より少し大きい。
The Blade of Soulsによって大きな尖塔のある離島へと導かれる。驚くなかれ、その尖塔はZellenathの隠れ家だ。プレイヤーはパズルやミニゲームを解いて、戦いながら塔の頂上へと向かい、Zellenathの真の姿であるDracolichと対決することになる!
パート2に2年費やした後、あれを完成させるだけの余裕がなかったから、パート2にそれなりの結末を盛り込もうとしたんだ。
楽しんでくれたと聞いてドキドキするよ!

Q: 好きな娯楽/趣味は? 学校では何を専攻しましたか? モッディングとレベルデザインを始める前の仕事は? モッディングにハマりだしたきっかけは? これまでの価値ある経験を元にしたアドバイスはありますか?

ありがとう。なるべく答えてみよう。

趣味: 料理が好きだ。何かを作るものなら何でも。ボードゲーム。あらゆるボードゲームだ。

学校: 機械工学の学位がある。ちょっと退屈だったから、それに関する仕事に就いたことはない(エンジニアリングにおけるデザインと建築要素はすごく好きだったが)。
前の職: フルタイムのゲームデザイナーになる前は5年間マーケッティングの仕事をした。ビデオゲームのマーケッティングだったが、大学卒業時にその業界で得られたのはその仕事だけだった。ある意味面白かったから、そこで寄り道してしまった。

モッディングのきっかけ: 答え難いが、僕は3つのことが好きだった。モノづくり、ビデオゲーム、そして娯楽。モッディングできるゲームが出てきたときにそれを始めるのは自然なことだった。最初にまともなモッディングをしたのはDOOMだった。あの理屈抜きに楽しめる体験の内幕を開けて、巧妙なトリックの仕組みを見るのは素晴らしかった… 夢中だったよ!

アドバイス: 何か違うもの(Something different)を作ってリリースすること。インタビューでも触れたとおり、目立つことが重要だから、何か面白いものを作って… 完成させてリリースすることが最重要だ! それと、作品が良いか改善が必要ならすぐにユーザーからのフィードバックがあるだろう。Scourge of The Lich Fatherのパート1のリリースは、僕のゲームのキャリアのスタート地点だった。みんなが僕の作品を見ることは、まるでドラッグのような中毒性があった。みんなを楽しませるために、もっと何かを作らなければならなかったよ!

Q: おい… 彼が目覚めたぞ

男ばかりの世界で働きたくなかったのかもね?

Q: 全世界(多言語)をターゲットとしたゲームをデザインする際に考慮することはありますか? たとえば、ある国/言語に特有のジェスチャー、物語、文化は、他の国では理解されにくいことがあります。また、スクウェア・エニックスは日本のメーカーですが、彼らから特定地域(たとえばアジア)を考慮したデザインを求められたことはありますか?

いい質問だ。僕の手掛けてきたゲームはすべて完全にローカライズされている。僕たちのThunderboxでも、既に11の言語でプレイ可能だ。特定の文化という質問はとても興味深い。モントリオールアサシンクリード チームは、ゲームにおいて正しい文化的要素を利用するよう細心の注意を払っているそうだ。スクウェア・エニックスで担当したのはヒットマンだったし、そういった要求は一切なかったよ(笑)。

Q: キャリアにおけるハイライトは? 誇りに思う仕事やプロジェクトの分野は? 最近プレイしているゲームは? 楽しみにしているゲームは? 一番好きなビデオゲームは?

キャリアのハイライト: ザ・ベンチャー・ブラザーズで、僕の作ったメダル・オブ・オナー ヒーローズの潜水艦が爆発するレベルが言及されたこと。
それとYouTube動画で「レベルデザイン」のトップヒットになれたこと。まったく信じられないよ。

誇りに思えること: Deus Ex: Mankind Divided - System Rift DLCのニューラル・サブネットのシーンだ。吹き流しを見て、最後の最後で上手く行ったときにお互いの顔を見合わすシーンはすごい見ものだよ! また、シャドウ オブ ザ トゥームレイダーの墓地に破壊的な方向性を設定したこと。幸運なことに、チームは予想以上の成果を挙げてくれた。

プレイ中のゲーム: Subnauticaだ。素晴らしいよ! 肩の凝らない驚きと釘付けにされる恐怖がうまくミックスされている。

楽しみなゲーム: Vampire The Masquerade Bloodlines 2とSystem Shock 3だね。

一番好きなゲーム: Rezだ。僅差で次点はBomb JackとSuper Cars IIだ。


以上


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