Nexus Modsニュース和訳：モッダーからゲーム開発者に - muppetpuppetのインタビュー (2020/02/21)

2020/02/21のNexus Modsニュース Modder to Developer - muppetpuppet（モッダーからゲーム開発者に - muppetpuppetのインタビュー）の和訳です。
muppetpuppet氏はSkyrim用MOD Moonpath to Elsweyr の作者であり、現在The Falconeer(ファルコニア)というゲームを開発中とのこと。

モッダーからゲーム開発者に - muppetpuppetのインタビュー
元記事：Modder to Developer - muppetpuppet
投稿者：Pickysaurus（コミュニティマネージャー）
投稿日：2020/02/21 (UTC)

目次

本日は特別なインタビューをお届けしよう。Skyrimで高く評価されているモッダー、muppetpuppetとして知られる、トーマス・サラ(Tomas Sala)氏をお招きして、リリース予定のゲームやモッディング歴について伺った。まだ知らない人のために説明しておくと、彼は2012年にリリースされたスカイリム初の「新世界追加型」MODのひとつ、Moonpath to Elsweyrの制作者である。

インタビューに応じていただきありがとうございます。あなたがゲーム制作に関わったきっかけは？

実は、2001年にアートスクールを卒業してすぐに、アムステルダムにスタジオを設立した。その頃はまだ自費出版ではなかったし、Steamはまだなく、iPhoneが登場する数年前だった。教育分野とリクルート向け広告分野に参入して、依頼なら何でも受けてゲームを制作した。ちゃんとした娯楽用ゲームに参入するまで何年もかかったが、最終的にはプレイステーション専用のPSVRを、Wii、Switch、モバイル向けのゲームとして制作するところまでこぎつけた。

ゲーム業界でどのくらい働いてきましたか？ そこではどんな役割を？

2001年からずっと。何でも屋だよ。本業は3Dアーティストだが、スクリプト言語や最近のC#言語が得意なだけに留まらず、長年にわたってクリエイティブディレクター兼ゲームデザイナーを務めてきた。The Falconeerではさらに雑多なことをしつつあるように思う。

あなたはリリース予定のゲーム "The Falconeer (ファルコニア)" の唯一の開発者です。スクリーンショットやプレイ動画を見るとスゴそうですが、まだ知らない読者のためにどんなゲームか説明していただけますか？

そうだな、子供の頃に大好きだったFreelancer、Star Wars: TIE Fighter、Crimson Skiesといったゲームへの先祖返りであり、そしてもちろん、スカイリムから継承されたオープンワールドへの愛が存分に盛り込まれている。要は、巨大な鷲のパイロットあるいは乗り手となって所属組織の騎士として働き、空中戦ミッションやオープンワールドの探索を行うんだ。ネット上で「ガンダルフが巨大な鷲に乗ってモルドールに乗り込んだらどうなると思う？ しかもレーザー付きだ」と説明した人がいたが、実に的を射た説明だ。実際の戦闘は、ドッグファイトが主体の第1次大戦～第2次大戦スタイルそのものだが、巨大な鷲やドラゴンといったファンタジー世界の生き物がいる。

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あなたが制作されたのはゲーム本体だけではありません。物語の舞台となる凝縮された世界を創り出すために書かれた伝承や設定集を読ませていただきました。The Falconeerの舞台設定について教えていただけますか？

僕は伝承が詰め込まれた世界が大好きでね、理屈の通った深みのある設定があれば、オープンワールドの探索がもっと良くなると思ってる。ファルコニア(Falconner)の世界はウルシー(Ursee)と呼ばれる、荒涼とした美しい氷の海の世界だ。人類が生き残るには厳しい世界で、数千年にわたって社会の構築と崩壊が繰り返され、海底にはその残骸と古代の遺物が散在している。この社会を動かしている主要派閥のひとつにマンサー会(Mancer Order)がある。マンサー会は、彼らの秘匿する巨大保管庫に隠された幅広いテクノロジーを利用できる組織だ。彼らはこうした技術の提供許可あるいは贈与を通じて、他の派閥を操り組織している。マンサー会の好意を得た王は蒸気機関を手に入れるが、好意を失えば敵の組織が突然マシンガンを手に入れるといったように。マンサー会はゲームの舞台の中心となる帝国等の派閥の日々の政治に関与しないが、彼らには長期的な目標を持つ隠された意図がある。この世界で体験するさまざまなキャンペーンには、マンサー会の真の目標と歴史、そしてウルシーを理解することが含まれる。

Digital Foundryで取り上げられたThe Falconeerの動画によると、ゲームは従来のテクスチャを一切利用せずに制作されているそうですが、本当ですか？ ゲームデザインにそうしたアプローチを採用した理由は？

その通り。事前に作成されたテクスチャがないと説明した方が適切かな。この世界の素材表現の制作では、ペイントソフトやマテリアルエディタはおろか、フォトショップによる作業すらしていない。代わりに、手続き型のトリックとかなり抽象化されたシェーダーを使った力技を使っている。たとえば、オブジェクト上の雪はゲーム内で生成するパーリンノイズで、溶岩や水の泡でもこれを利用している。同様に世界のカラーリングも、ライティングと大気のパラメーター値に基づくグラデーションを使っている。基本的には、モデルを作成してかなり単純に色付けしておけば、ゲーム本体が多くのディテールと環境色を追加できるのさ。

僕が怠け者だと言うコメントもあるし、僕が効率的なアート制作手順が好きなのは確かだが、全部がそれに当てはまるわけではない。あるエフェクトの制作に費やした労力は、単純にテクスチャを使った方が何倍も楽になっただろう。雲を例にとると、テクスチャなしでの制作は、数ヶ月にわたって繰り返されたクレイジーな試みだった。海における非常に高度なエフェクト（1世代前には不可能だったもの）も同様だ。

僕がこうする理由は大きく2つ。第一に、非常に厳格な審美性に強制的に従わせることができ、制作物の互換性と統一感が大いに高められること。ゲームに対して全く異質なオブジェクト、建物、乗り物を加えつつ、見た目をクリーンかつ荒涼とした感じにすることができる。その見え方と、そこから感じられるものに「まとまりが生まれる」のが大いに気に入っている。第二に、ビジュアルデザインに対する斬新で独創的な解決策を見いだすことを強いられること。出来合いの雲や水や照明を「そのまますぐに」使うことができないから、それぞれ違った方法を模索する必要がある。通常、その過程と成果は斬新で興味深いものとなり、その両方が僕にとって魅力的なんだ。

The FalconeerのコアにはUnityが使われています。ゲームエンジンを選ぶ際の考慮点は？

これまでの仕事でずっとUnityを使っていて馴染みがあったからだ。特に一人で作業する場合、自分にできることが何かを知ることは非常に有用だから、これは大きな利点となる。常に厳しい状況に飛び込みたくはないだろう？ とはいえ、Unrealエンジンのブループリントにも非常に興味がある。The Falconeerが完成したらそれも試してみるつもりだ。

Unityのゲームの中には(Harmonyといたツールを利用したりして)MODが使えるものがあります。The Falconeerではユーザー作成コンテンツを視野に入れていますか？

まだ検討中だが、モッディング、それにゲーム制作でさえも、ゲームでMODの作成を可能にすることとは全くかけ離れている。基本的には自分一人で作業しているから非常に困難な仕事になるが、そのことはいつも頭の片隅に置いている。ゲームのために適切なツールとオープンフレームワークをゼロから作成するのはまさに専門分野であり、この課題は外部からの支援を得ることを検討すべき数少ない側面のひとつと言える。

モッディングにおけるあなたの最大の功績と言えば間違いなくMoonpath to Elsweyrでしょう。2012年の公開当時は初めての「新世界追加型」MODのひとつでした。Creation Kitのリリースの1週間後であったことを考えると相当な偉業です。制作過程について何か思い出せますか？

チュートリアルに飛びついた後、ちょっとした創造性の狂気に取りつかれたことを覚えている。仕事で地元オランダのテーマパーク("Raveleijn")向けに子供向けのRPGを制作したばかりだったので、有名ゲームでやればどうなるか興味津々だった。

既存のNIF toolsをスカイリム用にアップグレードしようとしているグループが既にいたと思う。そのファイル形式のツールと奇妙な癖について理解している3Dアーティストである僕には大した問題ではないように思えた。それから短時間で木と葉っぱをインポートしてみた。スカイリムでは珍しいヤシの木といった植物だったと思う。

それから夢中になって、最初はスカイリムのオブジェクトの素材のデフォルトプロパティを調整して雪を緑の苔に変えてみた（ちょっといじるだけでかなり良い結果が得られた）。それから大気の霧とライティング効果のライブラリを探索して、それらを調整して熱帯の雰囲気を生み出すことに取り掛かったかな。

そして最初はプレイヤーの家をかなり早期にリリースした。手始めにするには本当に簡単で扱いやすいタイプのMODだからね。それからコミュニティのみんなが集まってきて、声優の申し出やバグの指摘、それに僕の最悪なスペリングの修正まで手伝ってくれた。これが作業を続ける猛烈な原動力となった。MoonpathのNexusページには、さらにフィードバック、リクエスト、あるいは雑多な手伝いをしようと、プレイヤーや他のモッダーたちが常に待機していた。

その時まで、これほどダイレクトな利用者とのやり取りをしたことがなかったように思う。それから6か月間、僕はすべての自由時間を制作につぎ込んで、今のMoonpathが完成したってわけさ。

The FalconeerにもMoonpath to Elsweyrにも飛行船があるのに気づきましたが、これはあなたの作品における必需品といったところでしょうか？

僕の制作するアートやゲームの多くでは、飛び去って逃げることの必要性が文字通り形となっているが、きっとそれが僕の一部なんだろうね。それに大型帆船や歴史的な帆船全般の大ファンなので、船や飛行船のヴィジュアルにいつも惹かれるんだ。

Skyrim Special EditionではMoonpath to Elsweyrの開発をIllianiに委ねましたが、これは難しい決断でしたか？

全然。Special Editionが来るずっと前に他のことに集中したいと考えて、Moonpathとその全アセットを希望する他のモッダーに開放した。物事を共有することでどういう結果が生まれるかは、The Dev Avezaで既に証明済みだ（彼らは壮大な拡張を行っているが、まだ僕の飛行船モデルのベースを使っているようだ）。

だからMoonpathの制作に関わっていなかったコミュニティであっても、他のモッダーがこれを新天地へと持っていき、僕がやっていたかもしれない多くの改善を行ってくれるのを見るのは喜ばしいことだよ。

Skyrimでのモッディングは、ゲーム開発者としてのキャリアの助け（あるいは妨げ）になりましたか？

コミュニティとのダイレクトな交流には独特の視点があり、より古典的なゲーム開発プロジェクトでは得難い、信じられないほどの恩恵があった。

また、Moonpathをプレイしたことのある業界人にもたくさん会ったし、長年にわたってクールな会話のきっかけとなっている。Moonpathのことを知っているベゼスダの人に会ったこともあるよ（初期の頃、彼らはモッディングシーンを注意深く見守っていたようだ）。

これまでの経験を生かしてエルダースクロールシリーズに取り組むことになった場合、何か変えたいことはありますか？

スカイリムがどのように作られたかに感心するばかりだ。ある選択が行われた理由について自分の知識に基づいて推測し、Creation Kitの系譜を理解してみたが、他に類を見ないゲーム世界とモッディング環境が提供されていると思う。改善できるとは思えない。TESの伝承にある「並外れた」側面が本当に好きで、今後の作品でもステージの中心であり続けてくれることを楽しみにしている。

重要な質問をひとつ。The Falconeerはいつ入手できそうですか？

あはは。今年の後半なのは間違いない。できるかぎり頑張るよ（笑）。ゲームの雰囲気を味わいたければPAX East (2月27日～3月1日)でプレイできる。

最後に、ゲーム開発者を目指すNexus Modsコミュニティのみんなに助言をお願いできますか？

モッディングを足掛かりにしたい人にとって、モッディングがゲーム業界全体のどれだけを占めるようになったのかを認識し続けるのは良いことだ。これはゲーム開発の一部なんだ。それとMODを披露するときに、これは単なる「MOD」であって、オリジナルの派生版あるいは改作として見られるのではないかと恐れ、申し訳なく思う瞬間があるかもしれない。

しかし、僕はゲーム業界でMODの大ファンでない人に会ったことはない。MODは実にクリエイティブなアート作品だ。だから何かを制作したら、これから出会うだろうゲーム開発者やアーティストに見せるのを恐れないように。彼らはかなりの確率でMODを愛しているか、ゲーマーか、あるいは過去にモッディングをした経験があるはずさ。

本日はありがとうございました。リリースの成功をお祈りしております。

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最後に

時間を割いてインタビューに応えてくれたトーマスに大いなる感謝を。

SteamのウィッシュリストにThe Falconer (ファルコニア)を追加してリリース通知を受け取ろう

紹介してほしいMOD制作者やプロジェクトがあれば、PickysaurusまたはBigBizkitまで提案してほしい。

以上

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