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Skyrim/The Witcher 3 Modについてのあれこれ。FoModの作り方、Mod導入時のトラブル事例などのニッチな話を書いていきます。a.k.a. BowmoreLover@nexusmods

Nexus Modsニュース和訳:冒険を形作る - Haem Projectsのインタビュー (2019/3/29)

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2019/03/29のNexus Modsニュース Carving adventures - Haem Projects(冒険を形作る - Haem Projectsのインタビュー)の和訳です。聞き手はPickysaurus。

2019/06/07追記: 先日Haem ProjectのDiscordにて、Dimonoider氏がGrimlore Gamesのレベルデザイナーに採用されたことが発表されました。Dimonoider氏は商用作品 SpellForce 3 のチームに加わり、DLCなどのゲームデザインに取り組んでいるとのこと。これによりHaem Projectは一時休止となるそうです。でもStarfieldやTES6のリリースが楽しみだし、モッディングを止めるつもりはないので安心してほしいとのこと。Dimonoider氏にお祝い申し上げるとともに、今後の動きに期待したいと思います。


冒険を形作る - Haem Projectsのインタビュー
元記事:Carving adventures - Haem Projects
投稿者:Pickysaurus (コミュニティマネージャー)
投稿日:2019/03/29(UTC)

目次

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はじめに

今回はHaem Projectsを組織した二人のMOD制作者、Dimonoiderとgkalianをお招きした。お二人は非常に人気のあるProject AHOや、最近リリースされたCarved Brinkを送り出したコンビだ。

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お話に応じていただいてありがとうございます。まずはあなた方のことについて少し話してくれますか?

gkalian: 招いてくれてありがとう。名前はアレックス(Alex)、ロシアのエンジニアだ。13年前にエルダースクロールシリーズに興味を持った。初期にはモロウウィンドやオブリビオンのMODをいくつか制作して、後にCreation Kitの動画チュートリアルシリーズを制作し、最終的にスカイリムのMOD開発を始めた。

Dimonoider: この機会を与えてくれてありがとう! 名前はドミトリ(Dmitry)またはダイモン(Dimon)、ポーランドとロシアに挟まれた小国ベラルーシ出身だ。子供のころからずっとゲームのモッディングに関わってきた。ゲーム業界、あるいは映画業界で働くのが夢だ。

2018年3月にリリースされたProject AHOはスカイリムのモッディングシーンに旋風を巻き起こし、最初の週だけでSkyrim版/Skyrim SE版が2万回ダウンロードされました。このMODが出来た経緯を教えてください。

Dimonoider: 制作を開始したのは2014年だが、自分のやり方を見つけてクリエイションエンジンを詳しく学び、共同制作者であり親友でもあるアレックスを見つけるのにずいぶん時間がかかった。そして空飛ぶドゥーマーの家を作るというありきたりのアイデアがAHOへと変化したんだ。

gkalian: 個人的にはMOD制作への誘いが好きだったためしはない。Creation Kitのチュートリアルの制作中に何度も誘いを受けたけど全部断った。そもそも興味がなかったし、どれも制作者の能力の限界を超えているか、まったく知識が足りていなかったからだ。

僕がWhite River Houseを制作していたとき、ディマ(ドミトリの愛称)から照明と特殊効果に関する提案があったんだ。僕はすぐに人と友達になれるタイプだから、それが他のものへとつながった。ディマはロケーションを延々と作り直すのが好きだから、うまい作業手順を見つけるのには少し時間がかかったけどね。

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いくつかのアイデアとバージョンを経験した後、エピソードを用意してMODを今よりも大きくした方がいいと考えた。細かい話はやめておくが、2016年8月に発表した最初のプロジェクトティーザーと翌年のを比べると、物語の変化が感じ取れるかもしれない。

本格的な開発は2017年の初めに始まった。ディマは中心に木の洞窟を作ることに決めたのを見て、それがテルヴァンニの居住地にぴったりの場所だと分かった。一番の焦点はもちろん船だったが、ドゥーマーをやめてテルヴァンニとその文化をプロジェクトの中心にすることになった。リリース後に一部のプレイヤーがこれを問題視しているのに気づいた。もちろん奴隷制度は悪いことだしそれを支持するつもりはないが、テルヴァンニ家の文化はもともとベゼスダが作ったものだし、僕たちは可能な限りゲームの伝承に充実であろうとしただけだ。ある意味、2つのエンディングを用意したのはこのためだ。

コメントを見る限り、MODのある側面がそれほど受け入れられていないのは明らかだ。だが言わせてもらえれば、初めての大規模プロジェクトなら当然のことだし、全員を喜ばせることなど不可能だからね。

最近Carved Binkをリリースされましたね。そこにはカットされた石(Faceted Stones)に関するクエストがあり、多数の興味深い人物や縦方向のプレイ体験といった仕組みが用意されています。このMODの背景と制作の経緯を教えてください。

gkalian: 最初は小さなMODとして始まったCarved Brinkは、当初の意図とは全く異なるものになった。「ゴブリンMOD」という面白いジョークが一体どうやってスノーエルフやデイドラなどを使った大きなものに変化したのかよく覚えていない。たとえ確立された伝承や世界に限界があったとしても、MOD制作というものは純粋な形の創造性なんだ。言えるのは、開発の開始直後にこんな話をしていたってことだけだ。
「貝のフォロワーをやろう! ああ、お喋りな海賊でな! いいね!」「すごいぞ、よく分からないが空飛ぶキノコのセルを作った。よし、見せてくれ」
いつもこんな感じで作業してるのさ。

“Let's go. In and out, a 20 minute adventure, you know“. ©
「行こう。入って出てくる。20分の冒険だ」
※リック・アンド・モーティ シーズン3 エピソード6 が元ネタのミーム

Dimonoider: このMODは10~20分の小さな冒険ではないが、Project AHOほどの規模でもない。プロジェクトの始まりを振り返ると面白いね。

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MODプロジェクトの作業はすべてお二人で? 他にもチームメンバーがいますか?

gkalian: ディマと僕だけのとても小さなチームだが、もちろん僕たちだけで全部できるわけではない。プロジェクトを支援してくれた以下のユーザーたちに感謝したい。

  • Forhir: Project AHOとCarved Brinkの音楽をすべて作曲してくれた
  • khobis: 声優でありライターであり、その他さまざまなことを手伝ってくれた
  • r0ht: 多くのキャラクターをデザインして台詞を書いてくれたとともに、MODに外部の視点を与えてくれた

MODのクレジットに2Dアーティスト/3Dアーティスト/声優といった全支援者の名前がある。誰もが素晴らしい仕事をしてくれた。ちなみに、彼らは僕たちのチーム(Project AHOとCarved Brink)とは別のグループの人々だ。

この規模のMODを制作する上で特に難しい点は?

Dimonoider: 吹き替えだ。やったことがないから何が起こるのか管理できない。そうでなければAHO/Carved Brink規模のMODを毎年リリースできるよ(笑)。

gkalian: 新しい場所と伝承を結び付けることだ。ときにはすべてのパーツをまとめるのが困難なこともある。「よし、これで終わりだ」と思っても、ダイモンが新しいセルを共有してくると、プレイしながら設定を作り、伝承をデザインにフィットさせる必要が生じる。

駆け出しのモッダーにお勧めするツール、ヒント、コツはありますか?

gkalian: アレックスによるCreation Kitのチュートリアル動画(ロシアのMOD制作者向け)、そしてもちろんCreation Kit Wikiだ。ロケーションを作るなら照明も忘れずに。ゲームプレイにおいて間違いなく最重要だ。

Dimonoider: 付け加えるとすれば、自分の能力を適切に評価すること。自分のプロジェクトが誰にも興味を持たれない可能性を覚悟すること。そして一番重要なのは我慢強くあれ。高品質のMODの制作は簡単ではない。

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Carved Binkのリリースと共に次のプロジェクト“Dyngir - A Las story”が発表されました。これまでのMODのどれとも違うようですが、どういったものですか?

Dimonoider: これまでずっと自分たち独自のゲームについて考えてきて、スカイリムのエンジンを使うのが良いと思っていた。UnrealやUnityを使っても、こうしたMODをこれほど早く作れるとは思えないからだ。1年ほど前にCreation Kitでドラフトを作ってアレックスに送った。その結果が将来のゲームのスタイルとなったんだ。

gkalian: 「クリエイションエンジンで2Dゲーム」というのは変に思えるかもしれないが、そうしない理由はない。Dyngirに集中する以前にまだCarved BrinkとProject AHOのパッチに取り組んでいるので、完成までには時間がかかりそうだ。興味のある人のために、フォーラムスレッドで詳細な情報を提供している

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プロジェクトでデザインする際の発想の源は?

gkalian: 僕は周りにある音楽や本や映画からひらめきを得る。一人だけの時間、あるいは少なくとも邪魔の入らない時間が必要だ。でも大抵は音楽のないところに行って考えを巡らせれば事足りる。創造力さえあればうまくいく。

でも当然、ドミトリが作ったロケーションを見てすぐに何をすべきか分かることもある。そう頻繁にはないが。通常は時間が必要だ。

Dimonoider: 音楽と自分の心の奥底からだね。ときには映画からイメージが思い浮かぶこともある。アクアマン、アベンジャーズアバターのように素晴らしいグラフィックとロケーション/ワールドのある映画が好きなんだ。それに、ラムシュタイン(ドイツのロックバンド)のライブを見ながら壮大な照明を生み出す方法を研究中している。彼らはライトとエフェクトで信じがたい作品を生み出すからね。今年の夏に彼らのライブを見るのが楽しみだ!

他のゲームのモッディングを考えたことは?

Dimonoider: 過去にヒーローズ・オブ・マイト・アンド・マジック、グランド・セフト・オートサンアンドレアス、Freelancer(クリス・ロバーツのゲーム)用のMODを作ったことがある(僕だけでね)。でもこれからという話であれば分からない。StarfieldとTES VIのモッディングがしたくてたまらないね。もしトッド・ハワードがこれを読んでいるなら、ベゼスダと一緒にTES6を作りたいんだ!

gkalian: エルダースクロールの前はヒーローズ・オブ・マイト・アンド・マジック3とスタークラフトのマップを作ったことがある。個人用途で大したものではない。もしTESのコミュニティを去るとなれば、ハーフライフの世界に移ると思う(ポータル2のマップを作ったことがある。その世界が好きだから、何かを創造するのは素晴らしい場所だし、エンジンもMODにとって良好だ。コミュニティはまだ活動していて、今でも新しいMODを作り続けている。

スカイリムのエンジンを使わず完全なゲームを作りたいと願っていますか? もしそうなら、どういう理由でどのエンジンを使いますか?

gkalian: 難しいね。仕組みが知りたくてUnrealとUnityを少し使ったことはあるが、どちらを使うかは場合によって異なる。僕たちの目的にとってはどちらか1つがあれば十分だろう。

Dimonoider: スタジオで働いて、場所や世界を創りたくて仕方がない。でも自分たち自身のという質問だったね。今ならUnityかUnrealエンジンだろうね。有名で急激に発展中のエンジンだし、ゲーム開発者による強力なコミュニティがある。それにもちろん、マルチプラットフォームのエンジンという点も見逃せない。

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コミュニティがあなた方の作品を支援するには?

Dimonoider: あらゆるところへ、あらゆる人に共有してほしい! 僕たちにはPatreonPayPalがある(10年使ってきたポテトPCを新調するのが夢だ)。それと、Twitterをフォローして僕たちのDiscordに参加してくれ。

gkalian: 言いたいことはドミトリが言ってくれたが、スクリーンショットや動画を撮って君の想いを共有し、遊び続けてほしい。

読者に何か一言お願いします。

Dimonoider: ゲームをプレイしてMODを作って夢をかなえよう。Haem Projectsを信頼してくれたコミュニティに感謝する。素晴らしい創造の場を提供してくれたNexus Modsに感謝を!

gkalian: MODで遊び、Nexus Modsを支援し続けてほしい。そして正しくインストールして最高のゲーム体験をするためにも、MODの説明文をよく読むように。

最後に

質問に答えてくれたHaem Projectsのお二人、Dimonoiderとgkalianに大いなる感謝を。

紹介してほしいMOD制作者やプロジェクトがあれば、BigBizkitまたはPickysaurusまで提案してほしい。

以上


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