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Skyrim/The Witcher 3 Modについてのあれこれ。FoModの作り方、Mod導入時のトラブル事例などのニッチな話を書いていきます。a.k.a. BowmoreLover@nexusmods

Nexus Modsニュース和訳:注目のプロジェクト - Project Genesis World Overhaul (2019/10/4)

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2019/10/4のNexus Modsニュース Project Spotlight: Project Genesis World Overhaul(注目のプロジェクト - Project Genesis World Overhaul)の和訳です。聞き手はBigBizkit。


注目のプロジェクト - Project Genesis World Overhaul
元記事:Project Spotlight: Project Genesis World Overhaul
投稿者:BigBizkit (コミュニティマネージャー)
投稿日:2019/10/04(UTC)

目次

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はじめに

本日はProject Genesis World Overhaulから、AtlasroarSwishosGregAmazingNinjaの3人をお招きした。このプロジェクトは、悪名など誰も気にしない大破局後の世界が舞台のチーム型(※1)RPGゲーム、Kenshiのための大規模で包括的なオーバーホールMODだ。

※1:チーム型(Squad-based) - プレイヤーキャラクターだけでなく、(NPCの)チームメンバーを率いてプレイできるという意味。

www.youtube.com

BigBizkit: プロジェクトでの役割について教えていただけますか?

Atlasroar: もちろん。やあ、Atlasだ! Genesis Modding Guildのコミュニティマネージャー兼サーバーマネージャーだ。サーバーのバックエンドの後方支援をしながら、すべての投稿を清書して、読みやすく楽しめるものにしている。この旅を始めた理由は、ロードオーダーが全ての人にとってうまく機能するようにするためだった。多くの調査を行って、ロードオーダーのことについて誰も分かっていないのだと気づいたとき、どこから手を付けていいのかも分からない課題について腰を据えて取り組むことにした。RedditにLOOTをアイデアの基本として使っているという投稿をすると、それを見たGregが誘ってくれた。1ヶ月ほど経ってSwishosの極秘Discordが急速に成長した後、僕たちは「引っ越しをする」ことにした。それで手配の方法やセキュリティと投稿の改善について提案をすると、Gregはこう言った。「君に任せよう」


Swishos: やあみんな、Samだ! Swishosの名で知られている。Kenshiをしばらくプレイした後、僕は唐突に、今の世界に何かを追加するMODを探し始めた。多くのエリアが空っぽで、マップのあるエリアが他のエリアよりも贔屓されているのがずっと気になっていたからだ。そしてなぜかNinja GregのAvalon Islesに触発されて、自分でモッディングを始めることにした。これは新しい派閥を追加しつつ、マップの空きをうまく利用する数少ないMODだった。JavaScriptHTML5の経験はあったけれど、Kenshiのモッディングは初めてだった。でも"Forgotten Construction Set"がお膳立てしてくれたので、1週間ほどの試行錯誤で学ぶことができたよ。

GregAmazingNinja: やあ、Gregだ。Genesisチームのリーダーの一人で、レベルデータの編集の大半を行っている。また、世界中にいるチーム全員がオーバーホールのファイルのアクセスして同時に作業できるように、サーバーを維持するという重要な仕事もある。さらに、すべてのMODファイルをマージするという面倒な仕事も担当している。

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Project Genesis World Overhaulの主な特徴は? どこからインスピレーションを得ていますか?

GregAmazingNinja: オーバーホールの主な特徴は、より大きく、装飾された町の改善による全ての場所の再構築、数百の新しい場所、派閥、クエスト、町の包囲戦だ。

個人的なインスピレーションといえば、オーバーホールのビジョンはこれまでのゲーム体験すべてに影響を受けている。中学生の頃に2000時間以上をスカイリムに費やした。好きな場所に行って珍しい物を見つけ、さらなる冒険へとつながるクエストが受けられるのが大好きだった。それにMount and Blade Warbandにも無数の時間を費やして、軍隊の管理、政治、野戦や町の包囲戦を大いに楽しんだ。Kenshiにおける包囲戦の実装はまだほんの始まりに過ぎず、このゲームをどれだけ入り組んで複雑なものにできるのだろうかと感じている。

Project Genesisを知らない人のために、どういうものか説明していただけますか?

Swishos: 最初に言っておくと、"Project Genesis World Overhaul"と"Project Genesis Modding Guild"はまったく異なるものだ。"Project Genesis World Overhaul"は、オーバーホールという名前から想像できるように、ゲームの伝承を忠実に維持しつつ、Kenshiの世界を埋めて拡張することを目論むプロジェクトだ。これには新しい派閥、都市、クエスト、対話などが含まれる。新しいコンテンツをバニラの伝承に関連づけて、どれもがKenshiワールドの一部だと感じられるよう努力している。

一方"Project Genesis Modding Guild"は、モッダーが作品を共有して、他の人の作業を支援したり、必要な支援が得られるような場所にしたいと考えて設立された。Kenshiに対するモッディングの人材は1か所に集約するべきだ。当初の構想以来、すでにMount & Bladeのモッディングコミュニティを合併していて、将来的には他のゲームへの拡大も検討している。このギルドのもう一つの特徴は、可能な限りいつでもメンバーをサポートできることだ。これにはリリース時のMODの宣伝や、Discordサーバーを使ったYoutube/Twitchアカウントのサポートといったこともできる。

また、Nexus ModsでリリースされるMODが非常に少ないため、Steamを利用しないユーザーに多くのMODが見逃されていることが気になっている。将来的にはNexus Mods用の共有アカウントも用意するつもりだ。このコミュニティアカウントを使ってメンバーのMODをNexusにアップロードするつもりでいる(もちろん許可は得ている)。そうすればギルドのメンバーに余分な負担をかけることなく、ギルドのMODに誰もがアクセスできるようになる。

Project Genesisはゲームのあらゆる側面に手を加えます。際立っているのはライバル派閥との都市包囲戦ですが、これは具体的にどういうものですか?

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GregAmazingNinja: 包囲戦について掘り下げる前に、ベースゲームによる町の制圧の扱い方について理解する必要がある。プレイヤーがある派閥のリーダーを殺害/捕獲した後、そのエリアを離れて戻ってくると、町はライバルの派閥によって占領される。僕らはこれを完全に廃止して、ライバル派閥が占領するにはプレイヤーの参加が必要となる、線形に進行する大規模包囲戦に置き換えた。技術的にはYES/NO判定文による複雑なツリーによって、包囲戦の発生方法とタイミングを決定する。包囲戦にこれ以上処理を追加すると、世界の状態とそのための対話の構造が複雑になりすぎてしまう。この仕組みについては、開発者日記で詳しく説明している。

特に自慢の機能や仕組みはありますか?

GregAmazingNinja: 技術的にはまだアルファ版だが、現時点では包囲戦だろう。これはオーバーホールの名にふさわしく、これまで誰もやったことのない最高の成果だ。他のゲームで言えば大したことはないかもしれないが、Kenshiのベースゲームではリーダーを始末してその場所に戻ると別の派閥に占領されてしまう。「え? それだけ?」と思ったものだ。だからそのアイデアを受け入れて推し進めた。他のビデオゲームや映画では、リーダーを始末するために敵の中を進む必要があるだろう? だからそうしたんだ。今後はこのシステムをほぼすべての町と派閥に拡張するつもりだ。この仕組みだけでもオーバーホールの大きな成果だ。

チームの結成と大規模プロジェクト立ち上げの経緯は?

Swishos: 今年の4月に僕の初の人気MOD "The Hook Expansion"をリリースしたとき、それがGregの目に留まって、すぐに彼からお互いのMODの互換性問題に関するメッセージを受け取った。最終的に、お互いのMODを組み合わせることで二人の時間を1つのプロジェクトに集約でき、複数のMODに対していちいちアップデート/パッチする必要がないという結論に至ったんだ。
このアイデアを広げて、同じ考えを持つ他のモッダーを探して見たらどうだろう? と考えたんだ。当時使っていたSteamコミュニティでプロジェクトに対する多くの関心が寄せられ、Project GenesisのSteapグループを設立することになり、チームのGoogleドライブと合わせて物事を整理する場所ができた。この段階でGregと僕は、こうして得られた支援によってゲームの完全なオーバーホールが実現可能だと判断した。

それから1ヶ月も経たないうちに想像以上にプロジェクトが成長して、Discordの必要性はもはや無視できなくなった。とはいえ、僕たちのMODに関する話をするだけではなく、プロジェクト以外の一般的なモッディングに興味がある人々と一緒にいたかったので、モッディングギルドを立ち上げることにした。誰もがモッディングのやり方を学び、必要に応じて他の人を助けたり、自分のMOD制作の支援が得られるような場所だ。Discordサーバを持ってから2ヶ月のうちにKenshiの公式Discodと提携し、今では700人以上のメンバーがいて、まだまだ成長を続けている。

このオーバーホールはKenshi用MODを組み合わせて、その総和以上のものを実現している印象を受けます。どうやってすべてをひとつにまとめたのですか?

GregAmazingNinja: 最初に他のMODを追加したのは後からの思い付きだった。このプロジェクトは、何百もの新しい場所やクエストを追加するオーバーホールを開発する目的で始まった。障害となったのはFunctioning market stalls MODだった。こうしたMODのパッチ作成に膨大な時間がかかるので、MODの作者に連絡して、オーバーホール本体に入れないかと尋ねた。彼の答えはイエスだったし、他の作者たちに尋ねてもそうだった。こうして既存の伝承を破壊しないという意味でのみ「ロアフレンドリ」と判断した大量のMODをマージした。マージしたMODのリストが膨大だったため、このオーバーホールは2つ目の目的を果たした。つまりロードオーダーの縮小だ。MODのマージ手順だが、これは非常に退屈で、メインのオーバーホールファイルに直接アクセスできる人にしか実行できない。マージしようとするMODにテクスチャやメッシュ、大量の武具といったアセットがある場合、すべてを整理してファイルのディレクトリを書き換えるのに数時間かかる。

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(画像提供: 5518 Studios)

まだプレイしていない人のために、Kenshiがユニークなゲームで、特にモッダーにお勧めできる理由を説明していただけますか?

Atlasroar: よし、任せてくれ。Chris(このゲームの制作者)は、誰もプレイヤーのことを気にしない世界を創造するという、素晴らしい仕事を成し遂げた。チーム型のオープンワールドであるこのゲームでは、だれもプレイヤーのことを気にしない。開始時の名前は「Nameless (名無し)」だ。そう、君は英雄でも選ばれし者でもない。文字通り何者でもないんだ。とは言っても、頭の中に思い浮かんだどんな物語でも描くことができる。傭兵に奴隷商人、アンチ奴隷商人、農民、鉱山労働者、探検家、誰だっていい。自分の町を建築して派閥を成長させることができる。たとえ「ゲームの終盤」であっても、まだプレイヤーのことを気にする者はいない。間違った人に話しかければ、奴隷に売られて打ちのめるだろう。汚らわしい異教徒の君は奴隷になり、飢えて貧乏になり、刑務所に送られ、飢えに瀕して死にかけ、誰かに食事を恵んでもらうかもしれない。この世界の仕組みを学ぶまで、世界は容赦なく君を殺そうとする。最終的に君が世界の仕組みを理解したとき、それは世界が本当に君を殺そうとするときだ。モッディングについてだけど、このシステムは乱雑なので、システムに入り込んで好きにできるようになるまで大変かもしれない。でもこのげーむが流行っているのは、Kenshiコミュニティの人々のおかげなんだ。

君がKenshiをプレイするなら、支援と居場所が得られる。それが僕たちの門番の役割だ。「ダークソウル」よりも難しいかと聞かれれば、ノーだ。でもこのゲームは非常に愚かかつ不寛容で、面白くもあればイライラさせられることもあり、自分のキャラクターあたかも人間のように見せてくれる。だからこそ、このゲームのモッディングにはやりがいがある。誰かが「これの設定を忘れているぞ」と言えば、Discordのモッダーが10時間ぶっ続けで喋りまくって、独自の建物の実現方法を考え出す。このゲームのモッディングで価値があるのは、こうしたコミュニティそのものなんだ。

MOD制作にはどんなツールを使っていますか?

GregAmazingNinja: 一番重要なのツールは、Kenshiのどのエディションにも付属しているForgotten Construction Setだ。Kenshiの開発者に感謝。2番目に重要なツールはSVNサーバーだ。SVNサーバの技術は少し時代遅れで、今では誰もがGithubを使っていることは分かっているが、このオーバーホールの目的にはこれが一番簡単なんだ。オーバーホールのメインフォルダーでサーバーを実行すると、チームの全員が直接アクセスできるようになる。チームメンバーはそこからオーバーホールを有効化してサブMODを制作する。サブMODは順番に送られてくるので、そこからオーバーホールに手動でマージするんだ。

ゲーム(他のゲームを含む)のモッディングをどうやって学びましたか? 駆け出しのMOD制作者へのアドバイスはありますか?

GregAmazingNinja: 僕は長い間、プレイヤーが一掃した古代遺跡か何かを自分の家にするというアイデアに夢中だった。残念ながらベースゲームにそうした要素はなく、町にある廃屋を購入して修繕できないことに少し違和感があった。それでゲームに添付されているForgotten Construction Setの使い方を学ぶことにしたんだ。新規のモッダーに役立つヒントとしては、既にベースゲームにあるものを取り出してバラバラにして、全ての仕組みを理解することだ。僕が学んだ方法は分解と試行錯誤だけだった。行き詰まったときはいつでもオンラインで調べたけれど、このゲームについてもっと知りたいと思う経験と好奇心が大部分を占めていたね。

Atlasroar: 僕のモッディングはここNexusで始まった。アカウントではいくつかの写真以外は公開していないが、自分で作ったMODに少し没頭していた。Kenshiであれ他のゲームであれ、現実的に小さなものから始めることだ。ユニークなキャラクターを追加して、独自のアセットの作成方法を学ぶ。そうしたことができるようになれば、その他の分野へと手を広げる助けが簡単に得られるようになる。他のモッディングコミュニティと同様に、ここには自分の知識を広めたい人々がたくさんいる。

モッディングの世界では競争が激しいかもしれないが、結局のところ、人の失敗は誰も望んでいない。たとえガラクタを投げ込もうとね(ベゼスダ・コミュニティを見てみるといい)。どのゲームであれ、新規のモッダーへの最大のヒントはwww.nexusmods.comを見ることだ 。これを読んでいるなら、すでに史上最高のモッディングコミュニティにいつでも100%無料でアクセスできるということ。ここにはありとあらゆるゲーム用ツールのガイドがある。

それよりももっと重要な注意点がある。モッディングするのはプレイするゲームが大好きだからこそだ。何かを変えたいからこそモッディングする。MODは楽しみのためのものだ。Guardlyが人気を得るためにReally useful dragonsを作っていると思うかい? もちろんそうではない。楽しいからだ! モッディングとは見られるためのものではなく、情熱と楽しみのためのものであるべきだ。楽しめなくて続けるのがつらいなら、それは休憩する時だ。MODの核心とは、自分が楽しいと思うものを追加して、それを他の人が試すということなんだ。

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プロジェクトの支援方法と参加方法は?

Atlasroar: 今は積極的に人を探していないが、だからといってメンバーを増やしたくないということではない。支援したい人がいれば気軽にDiscordまで来てほしい: https://discord.gg/g7F6aHw

ゲームに何かを追加するならある程度の知識が要求されるが、チームへの参加の間口はかなり広い。とはいえ、チームとMODに貢献したいという情熱を持っていることは確かめさせてもらいたい。

最近、面白い会話とストーリーを提供したいという人が仲間になった。彼らが提供したいのは会話だけで、実際にそれをゲームに追加しようとはしない。これは情熱的なプロジェクトなので、それを踏まえてこれについてきちんと対応したいと考えている。これに時間と労力を注ぎ込み、Kenshiコミュニティが驚くようなものを制作し、Kenshiのモッディング方法の先例にしたいと考えている。このグループには古いファイルを定期的に検査して、独自の水準を満たしているかどうか確かめる者がたくさんいる。チームのメンバーが学んで成長するにつれて、「こっちのバージョンの方がいい」と言ってMODを再提示する人々が出てきた。こうしたことがGenesisチーム全体を成長させるんだ。ここでは誰もがお互いに助け合い、支援しあえるようにしたいと考えている。僕たちが求める人材は、そうしたチームメンバーだ。

最後に

質問に答えてくれたProject Genesis World Overhaulチームに大いなる感謝を。

紹介してほしいMOD制作者やプロジェクトがあれば、PickysaurusまたはBigBizkitまで提案してほしい。

以上


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