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Skyrim/The Witcher 3 Modについてのあれこれ。FoModの作り方、Mod導入時のトラブル事例などのニッチな話を書いていきます。a.k.a. BowmoreLover@nexusmods

Nexus Modsニュース和訳:オーバーホールの帝王 - EnaiSiaionの紹介 (2018/7/11)

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2018/7/11のNexus Modsニュース The Overlord of Overhauls - EnaiSiaion(オーバーホールの帝王 - EnaiSiaionの紹介)の和訳です。ApocalypseやOrdinatorといったオーバーホールMODで定評のあるMOD制作者、EnaiSiaionさんのインタビュー記事です。聞き手はBigBizkitとPickysaurus。

オーバーホールの帝王 - EnaiSiaionの紹介
元記事:The Overlord of Overhauls - EnaiSiaion
投稿者:BigBizkit (コミュニティマネージャー)
投稿日:2018/7/11 (UTC)

目次

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はじめに

今日はApocalypseOrdinatorThunderchildといった様々なSkyrim用オーバーホールMODの制作者であるEnaiSiaionに話を聞いた。彼の作品のいくつかは、Skyrim用の定番人気MODとして正当な地位を築いている。

チャットの時間を取ってくれてありがとう。Skyrimプレイヤーならあなたの作品に馴染みがあるはずですが、軽く自己紹介をお願いします。

EnaiSiaion: EnaiSiaion、34歳のベルギー人だ。2001年にモッディングを始めた。2003年に初めてのMOD、ディアブロ2用のMedian XLを公開して、2013まで開発を続けてきた。

2011年にSkyrimのモッディングを始めてApocalypseをリリースした。以来、多くの忘れ去られたMODと、OrdinatorImperiousなどの人気作をリリースしてきた。

基本的にはゲームプレイのオーバーホールがほとんどだ。それと並行してBallisticNG等のゲームのコンテンツを作ってきた。以前は人事の仕事をしていたが、中年の危機に差し掛かり、ソフトウェ開発の学校に戻った。現在3年コースの2年目だ。

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ApocalypseOrdinatorといった見事なMODの作者であり、Supersafe Dwarven Rocket BootsといったMODも制作されていますが、自分の作品で一番誇りに思えるものはありますか?

EnaiSiaion: 今のところはもちろんApocalypseだ。作業を始めた2013年当時はSkyrimについてあまり知られていなかった。新たなカスタムアセットの作成はもちろん、スクリプティングのやり方も酷いものだった。だからこれは特別なMODなんだ。僕は長い時間をかけて、モッディングのやり方に関する洞察を進歩させ、更新し続けてきた。今では全く違ったものになり、その出来栄えに満足している。

あなたのMODの大半は大規模オーバーホールですね。どれも開発に多くの時間を費やしたはずです。ストーリータイプのMODではなくオーバーホールMODを制作する動機は何ですか?

EnaiSiaion: ゲームプレイオーバーホール制作の歴史はディアブロ2から始まった。様々な「メディアン」MODをMedian XLに集約した。だから既に経験があったんだ。昔Path of Exileのためにアイテムを作ったこともある。Skyrimはストーリーに注力したイマージョンのためのゲームと呼べるもので、まともなゲームプレイが用意されていないと思ったので、これらをそのままSkyrimで実装することにした。

そしてディアブロ2のやり方がSkyrimで通用しないことが分かり、何年もかけて調整した。これはSkyrimにストーリーや仕組みを追加するだけでなく、確かなゲームプレイを追加できるというデモンストレーションになった。

最近ではコミュニティに関することに力を入れているが、こうしたことができる実力は証明できたと思っている。多くの人々に名前を知られ、普段はDiscordやチャットでみんなとおしゃべりしている。いつかゲーム業界で働けるという僅かな希望も原動力となっている。

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あなたがMODに対する幅広いサポートを提供し、ユーザーの声を真摯に受け止めているのは注目に値します。その流れで、あなたのモッディング観についてお聞かせください。

EnaiSiaion: 僕にとっては趣味だ。クリエイティビティを表現する方法だ。

これまでのモッディングは、単にゲームをプレイして楽しんで独自の物を追加するだけでなく、クリエイティビティの表現そのものだったように思う。

今では自分のポートフォリオ(作品/経歴)を作り、企業に採用されるという選択肢が増えたので、これからはもっとプロフェッショナルなものになるだろう。実際、無料のインターンシップとしてこうした経験を重視する人々(企業)が増えているので、モッディングは少し変わっていくと思っている。

2001年にモッディングに関わり始め、ディアブロ2で一番人気のオーバーホールを作成されたとのことですが、長年かけて学んだことについて少し教えてください。

EnaiSiaion: 自分の経験で学んだ重要な事柄は次の通り。まず、ユーザー体験は何よりも重要なもののひとつだ。当時、ディアブロ2にはあるものに特化したパッチがたくさんあった。それから1年ほど経った頃にディアブロ2のアップデートが来た。本当に影響度の大きいアップデートで、オブリビオンからスカイリムへの変更みたいにすべてのファイルが変更された。ほとんどのMODは飛躍できず、こうアナウンスした。「MODをプレイするには一度アンインストールして再インストール後、特定のマップにパッチを当てること」

僕はそうするのを避けるため、多くの機能を犠牲にした。必要に迫られて飛躍をして、Median XLは他のMODより取っつきのよいものになった。これが大きな違いを産んだのだと思う。MODを見つけたユーザーがMODを試したいと思ったとき、45分間ディスクの入れ替え作業をしなくても、すぐにMODをプレイすることができるんだ。

もう一つ学んだことは、ユーザーのフィードバックを聞くことだ。10万人のユーザーがいるとしたら、大抵は1万人のユーザーが作者よりも多くのことを知っている。だから目をひん剥いて、あるいは耳を開いて、英語で何と表現するのかな? とにかく、ユーザーの意見を聞くことだ。

2000年代にディアブロ2のモッディングを始めたとのことですが、Skyrimを始めたきっかけは? 以前のTESシリーズのモッディング経験は?

EnaiSiaion: TESのモッディングを始めたのはSkyrimのリリース以降だ。ディアブロ2のモッディングに忙しすぎてオブリビオンに手を出せなかったのが主な理由だ。当時は時間がかかりすぎてそんなに時間を割けないと思っていたから、RPGのことは考えていなかった。モッディング可能な新しいゲームの出現でディアブロ2が衰退してしまったので乗り換えることにした。それに、ディアブロ2のモッディングをしたのはそうする必要があったからで、Skyrimリリース直後と同様、切り出されたばかりの粗いダイヤモンドみたいなものだった。

どちらのゲームにもゲームプレイの仕組みに幾分欠陥があるものの、修正したり仕組みを追加することができるし、ゲーム自体にそうするだけの価値がある。ゲームが本当に良いもの、おおむね良いものであればモッディングする必要などない。だが、ディアブロ2は2000年に発売されたものでゲームプレイはいくらか単純化されすぎていたし、Skyrimにはパズルのピースが全て揃っているものの、戦闘はただクリックして攻撃するだけだ。氷のオーブを動かすのに全てをスクリプトで行う必要があり、ファイル毎に1023レコードしかないディアブロ2と違って、Skyrimにはより多くの選択肢があった。だからディアブロ2の考え方で酷いSkyrim用MODをいくつか作成した後、Skyrimプレイヤーが本当に求めるものは、厳密なメカニック(仕組み)の深みではなく、なによりもイマージョンであることを学んだ。

あなたのユーザー名はとてもユニークで、(僕たちを含めて)あらゆる間違った発音を聞いてきました。どう発音するのですか? 何か特別な由来があるのですか?

EnaiSiaion: 「Ee-nay Sha-yon (イー・ネイ シャ・ヨン)」と発音する。厳密には別々に発音するが、「EenayShayon(イーネイシャヨン)」と発音してもいい。実はエノク語における神の敬称なんだ。2007年当時は今と違って神経質だったんだ。今では単にEnaiと自称している。覚えやすいし4文字で書きやすいからね。

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モッディングやゲーム以外の楽しみはありますか?

EnaiSiaion: いや、ないね。これまではずっと人事の仕事の合間の自由時間にモッディングをしてきた。だが最近は事情が変化した。中年の危機ってやつだ。他にもソフトウェア開発を楽しんでいる。今はソフトウェア開発学校の生徒だ。授業時間外でも楽しんでいるよ。

僕はほとんどゲームをしない。最近プレイした唯一のゲームはOverwatchだが、それで十分。それほど暇がないから。

もっと時間があった頃を思い返してみて、一番思い出のあるゲームは何ですか?

EnaiSiaion: 子供時代は90年代だったから、一番思い出のあるゲームは90年代後半のものだ。まだ若く、感受性が強く、最初のコンピューターを手に入れた頃だ。近未来レーシングゲームワイプアウトシリーズが好きだった。それに初代のディアブロ。ゲーム内の雰囲気はもちろん、ゲームプレイにも感銘を受けた。最近ではゲームプレイが支持されることは少ないが、当時は本当にクールと思われていた。例えばTwisted Metalといったゲームがね。

Skyrim Redoneの作者T3nd0と一緒にWintermyst - Enchantments of SkyriというMODを制作されましたね。共同作業のやり方について少し教えていただけませんか?

EnaiSiaion: あれは普通の共同作業ではなく、より分業化したものだった。Wintermystによって追加された付呪をスカイリムに統合するのが目的だった。つまり、それらを一覧に追加して6000~7000もの付呪アイテムを作成するということだ。楽しそうな作業とは思えなかったが、T3nd0はPerMa (Perkus Maximus)の制作中で、ロードオーダーに従ってアイテムを生成する外部ツールに取り組んでいた。彼からツールの初期バージョンを貰って実行し、出力結果を修正して、彼との連名にしたんだ。

彼はクールな男だった。リリースされたPerMaを僕は完全に支持した。彼はOrdinatorのリリース直後にモッディングシーンから去ったが、それと関係があったとは思いたくない。そうでなければいいのだが。

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初のSkyrim用ストーリータイプMOD、Ravengateをリリースされましたが、いつものオーバーホール以外に手を出した理由は?

EnaiSiaion: 実は3作目で、すっかり忘れられたDwemertechSpectraverseの2作に続く作品だ。確か呪文MODとして宣伝してしまったけれど、結局どちらもそれほど良いものではなかった。

それはさておき、Creation Clubが発表されて、それに参加したMOD制作者がいたが、自分の制作するものが基本的に間違ったコンテンツだと判ったので僕はそうしなかった。そもそも、ベゼスダのコミュニティ担当がフォーラムで探していたのはアーティストとワールドビルダーだった。僕のはオーバーホールだ。だから「まだ時間がある」と思い、Ravengateを制作することにした。2ヶ月かけて必死で作業して締め切りに間に合わなかったが、結局大きな違いはなかった。だが制作作業は楽しめたよ。

著名モッダーの一人として、ドネーションポイントシステムについてどうお考えですか?

EnaiSiaion: 何と言えばいいのか、制作者に寄付するための、より「大衆中心」のアプローチだ。記憶にある限り、ベゼスダは2015年まで作者への寄付を禁止していた。それから「有料MOD」の騒動があり、Patreonを立ち上げる人々がいた。公式にはPatreonを宣伝することはできなかったが、「MODのためではなく作者のため」と謳っていたのはご存知の通りだ。

ドネーションポイントシステムは物事を「公式に」する良い方法だと思う。これによってMOD制作者が何の見返りもないと思わなくて済むし、ENDORSE以外の方法で報酬を決めるやり方なのもいい。

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あなた自身のこと、将来の計画、その他話しておきたいことはありますか?

EnaiSiaion: これまでのモッディングコミュニティの進化は興味深いものだ。ほとんどその始まりからMODを制作してきたが、その進化を見てこられたのは興味深い。その起源は基本的にチート行為の派生だった。モッディングシーンは文字通りチート行為から生まれたんだ。最初はMODがゲームのチート行為ではないと説得するのに苦労したものだが、それからゆっくりと、より大きなものへと成長してきた。

オブリビオンのようなゲームでも注目を集めてきたし、スカイリムでも「みんなのためのモッディング」が行われてきた。MODに手を出さなかった人でさえSkyrimにMODがあるのを知っていたし、Nexusの存在も知っていた。それがモッディングの黄金期だったと思う。素晴らしい時代だったが、今後はよりプロフェッショナルなものに変化し、ポートフォリオ(経歴)作成の手段に代わっていくと考えている。

DotaがBlizzardの戦略ゲームシリーズと真っ向から競合して彼らに実害を与えた事例もある。開発会社はゲームに起こっていることやユーザーの作成したMODにより注意を払うだろう。Starcraft 2はDotaといったもののおかげで失敗した。モッディングシーンには多くのクリエイティビティとイマジネーションがあり、モッディングシーンがゲームの価値を高めるような方法で作られていることを、開発会社が理解してくれることを期待している。

その初めの一歩としてCreation Clubがあるし、Starcraft 2では有料のマップも用意されている。将来、開発会社がこうした流れに沿って行くのではと考えている。

Enaiさん、MODのお話を聞かせてくれてありがとうございます。

EnaiSiaion: こちらこそ。ありがとう!


以上


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